古典ミステリの王道

ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)

ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)


途中で読みかけのままだったこの本を読み終える。
「翼ある剣」「ダーナウェイ家の呪い」で、ん!?と首を傾げそうになったが、
「ギデオン・ワイズの亡霊」はよかった。
一見「そんな、アホな…」と思わせといて、「…ああ、なるほど」と着地させる
手法はお見事。


ちなみに、前半4編で(かなり前に読んだのだが)内容を覚えていたのは
「ムーン・クレサントの奇跡」だけだった。なぜか。
ちょっと読み返して、他のも思い出したけど。
記憶力がないな〜。


自分がチェスタトンの好きな理由は、切れ味のあるトリックや
哲学的・神学的逆説はもちろんなんだけど、
地の文でみられる詩的な文章が一番琴線に触れる。
特に風景描写において「色」を強く意識していうように思われる。
彼は批評家・詩人・宗教・政治・文芸・美術などのあらゆる分野で
異彩を放った才人であり、小説においては自分の活動の中でも
余技的なものであるとかなり過小評価していたらしい。
(とてもそんなふうには思えないすごさなんですけど、小説…)


ミステリ読む人なら、今更な本だろうけど、
この「ブラウン神父」シリーズはお気に入りなので、
一気に読まず、少しずつ読むようにしている。*1

*1:まあ、というかミステリ自体をほとんど読んでいなかったんで