さそうあきら マエストロ


ISBNがない。なぜだ。
中堅どころのオーケストラ楽団が、一見そこらへんのジジイだが実は一流の才能を持っている片鱗をうかがわせる指揮者に突き動かされる話。きちんと取材した資料をもつ形跡が見られ、それが適切に用いられ好感がもてる。さそうあきらってけっこう職人的な漫画家なのだなと思う。その職人的な部分と熱くなりすぎないテンションは、佐々木倫子細野不二彦に似た感じ(前者は取材に基づく資料の消化具合が抜群で、さらにそれを読者に悟らせない技量は随一。後者は職人という観点で言えば、これほどプロフェッショナルな人はなかなかいないと思う。常に一定打率をはじき出し、マンネリと安定感のなかでのマンガとしてのおもしろさのバランス加減は巧みだ)。

そういった安定した足場が設けられて、これからマンガとしてのストーリーが動き出すところで一巻が終わる。だけど、アクション休刊騒動の前に連載していた作品だから、ここで未完のまま終わりらしい。音楽の見せ方、楽団員の能力を引き出す際の演出などうまいから、これからが楽しみになるところだけに残念だ。


どうでもいいけど、運命の第一楽章の導入部の休符の話でこれを思い出した*1

*1:平氏はいいキャラしているので、また出してくれないですかね。むりですか。