時間が限られているので、ちょっとしか書けない。

シェイクスピアの古文書をめぐる話という、これまでとは少し趣向を変えた事件で物語りは展開してゆく。この話にはたった一回だけ殺人事件が起こる。それは真の意味での「一回」だけの殺人だ。これが今まで悲劇と銘打ってきたシリーズが、正真正銘「最後の事件」たる所以である。
最初から順を追って読んでよかった。そのために、少し異色に思えた「Zの悲劇」の存在する意味もわかる。「レーン最後の事件」は単体ではあまり意味がない。シリーズを通して最後に読むにやはりふさわしい。

最後にひとつだけ。

警部はギラリと光る楯型のマークを示した。退職当時から、返却を怠っていた警察バッジで、今でも持って歩いて、その筋の威光を見せようとする場合に、ひけらかすことにしていた。

ちょ、おっさんッッッ……!!