小説を朗読するような口調で長門はSQLを呟いた。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

「情報結合の解除を申請する」
言うが早いか、長門の握ったナイフの刃が煌き出した。紅茶に入れた角砂糖のように、微小な結晶となってサラサラとこぼれ落ちていく。
「!」
ナイフをはなして朝倉はいきなり五メートルくらい後ろにジャンプした。それを見て俺は、ああ、この二人は本当に人間じゃないみたいだな、とか悠長なことを思った。

今更ながら、第1巻を読む。読後、第一の感想は「すごく映像的な文を書くな・・・」ということ。まるでTVのノヴェライズを読んでいるかのように、ありありと情況が浮かんでくる。まさにカメラ越しに見た「キョンの視点」。一人称であるキョンの地の文に「」で他のキャラクターがセリフを返すのも、ナレーションと思っていた声にカメラに写る人物が受け答えしているのを見て(聞いて)初めてその声がそのカメラを持つものから発せられた声なのだなと気づくように。だからか、映像作品から小説に入ってもそれほど違和感を感じない。むしろ、あのTVスタッフの力のいれようがハンパないのか。とりあえず、これのおかげでTV版最終回(実時間上の)がわかりました*1。なるほど、小説本編が続いている作品に対して、TV版がどうケジメをつけるかといったその答えが、あの(物語上の)時間軸の入れ替えなのだな、と。
(この第一巻に限れば)話の主題は「アイディンティのゆらぎ」!?。

*1:本を読んだのと記事をアップするのには時間の経過が大分たっている