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- 作者: 昌原光一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: コミック
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題名にあらかさまに「人情」とあると、あまり食指は働かないのだが。
あるサイトのおすすめということもあり、たまたま手に入れた。
作者は当時の資料をよく読み込んでいるようで、風俗描写はなかなか。
絵柄的には、オタっぽくなく、しかし古めかしくもなく、それでいてわりあいすっきりしているので、老若男女問わず受け入れられる感じ。これってまっとうな漫画の形なのかも。
江戸時代の(と思われる)とある街が舞台らしい、そこに住む人々が織り成す一話完結のオムニバス形式の話。強烈なオチがとくにあるわけではないが、ふっと人の心に何かが落ちるような、まさに人情話。自分は落語には全く疎いのだが、落語の人情話を漫画にしたらこういう感じになるのかなっと思われる
(帯には立川談志のおほめの言葉だし)。
印象的なのは、第五幕 影 と第九幕 約束 。
影 あからさまに長屋や街の人々から避けられている、ある女。道を歩けば影でなにやらヒソヒソと嫌悪の種とされる。女もそういった状態を受けいらざるを得ないらしく、ただただ目を伏せてやり過ごすのみ。
この女がこんな状況にあるのはなぜか…。
話のテーマは「人間の尊厳」だろう。
約束 病気で目の見えなかった幼女・お鈴は、医者の診療により目が見えるようになる。が、お鈴は一向に自ら目蓋を開こうとしない。父親が娘の本復祝いにと京より一級品のひな壇を取り揃えても、親の期待が空回する状況。そんな時、街を歩いていた医者が、かつてお鈴とよく遊んでいた家なしの子・金坊と会う。
金坊は言う「でもおいらは知ってるよ!どうしてねぇちゃんが目を開けねえのか!」。その理由とは…。
こちらはちょっとした「日常のミステリー」。
一巻に収められている全九幕のうち、第二幕の主人公「佐吉」だけはどうしようもないダメ人間だが、マンガ的にみれば一番おいしいキャラである。
言うなれば、それは「狂気」。
もしかしたら、この第二幕が一番好きかも。