ほとんど読んでいない「古典」というものを読んで、ミステリ経験値を上げようと思ったり思わなかったり。

Xの悲劇 (新潮文庫)

Xの悲劇 (新潮文庫)

悲劇というのは、レーンがシェイクスピア好きだから、そこから?*1

印象‐今更謎自体にうんぬんも愚問だろうからそれ以外で。まずは、かなり丁寧な小説だな、と思った。物語の時間進行や3人称の語りは素直であり、事件の発生・捜査・推理・解決など、一度も読み返すことなかったし、理解できない部分もない。ただ、物語の終盤に解決編(謎が解かれるカタルシス)があるのはわかっているので、そこに至るまではどんな感じなのだろうと読み進めていたら、……普通。欠点は特にない、裏を返せば平坦。途中で一度どこかに山場があるのかというと、そうでもない。まあ何十年も前の作品なので、今のマンガシステムにならされた現代の読み手の視点から見ると、そこに多少の齟齬があるのは致しかたないところか。基本的に可もなく不可もなくの読み心地で、最期の謎解きで多少プラス点だから、総合評価はまあまあ。
丁寧なんだろうけど、こんなに淡々としているのなら短編という爽快感のほうが好みかも。世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)とか。あと、レーンなどがキャラ的におとなしい、かな?キャラ読み至上主義ではないでれど、ホームズとかブラウン神父はかなりキャラが立っていたんだけどなぁ。
本作がこんな印象なので、あれである次回作がどのような感想になるか楽しみだ。
あ、レーンが隠れマッスルジイサンだというのはおもしろかった。お前は草野仁か!!

*1:単なる 殺人事件=悲劇ではさすがにないでしょ!?