やっと見た。

新春ドラマスペシャル 古畑任三郎 連続三夜放送

ビデオに録っておいたの、ようやく全部見た。
そうか、石坂浩次が脇役のまま終わるわけないものなぁ。二時間ドラマ的見方からわかるのか。
なるほど。第一夜の(真)犯人が、犯罪としては完璧だけれども人間としては身勝手そのものだったのに対して、第二夜の犯人が、犯罪としては二流だけれども人間としては常に「フェアプレイ」を好み、自分のためでなく兄のために罪を犯した、一流の人間という正反対の構造を持ってきていたのはすばらしかった。
特に「しかしねぇ、イチローさん。私は決してそんなこと訊きません。むこうがフェアプレーで勝負するんだったら、私だって受けて立つ。そのかわり、どんな手を使っても彼を追い詰めてみせます。そして最期には自白させてみせます」「たいした自信ですね」「はい、この試合……負けるわけにはゆきません」この話こそ、三谷幸喜の当て書きの真骨頂であり、上記の台詞には思わず唸った。犯人の挑戦に対して、正面から勝負する。古畑の精神「罪を憎んでも人を憎まず」がこれほど端的に現れた場面はなかなかないと思う。
第三夜はラストとは思えないほど、あっさりしている。事件が起きるまでだいぶ時間があったし。二時間もいらないな。女性ゲストという、古畑への最期のサービスだったのかも。
今泉は、本当にいらなくなった。というより、当初はダメなワトソン役ということでうまくその狙いが機能していたのだが、シリーズを重ねてゆくうちに役目を終わらせてしまい、退場させようとしてももはや引っ込みがつかなくなって、三谷自身も取り扱いに困っているのが視聴者にも伝わってきてしまった(いらなくなった芳賀は1シリーズで消えたからなぁ)。対して、西園寺君は自前の推理を提案するほどいつのまにか成長していた。
スピンオフ作品「今泉慎太郎」がピークだったね。科研の桑原君がものすごく好きだった。思い出すたびに、伊藤俊人さんの活躍をもっと見たかった、と悔やまれてならない。