日本のフュージョン、オサレさん

70〜90年代にいたる日本のギタリストによる楽曲を集めたコンピレーションアルバム。高中正義・是方博邦・松原正樹など有名ギタリストが名をつらね、北島健二土方隆行などプロデューサーとしてもよく見る面々の楽曲もあり。一言で言えば、…目黒ブルースアレイ系?(少し前だったら六本木PIT−INN系?)
この2枚組のCDで日本の代表的フュージョン系ギタリストをざっくりと網羅しているようだけれど、ここにある楽曲を聴いた限りでは、けっこうオシャレサウンドであまりギターを前に前に出していない気がする。セッションミュージシャンとして活躍している面々が多いせいか(関係ないか?)、歌謡曲っぽいというか、歌モノとどう違うの?みたいなものが多いのは、時代のせいなのか……(ラリー・カールトンも、こんな感じっちゃあこんな感じなのだが)。もっと弾き倒してほしい、ザック・ワイルドぐらい!?
そのなかで印象的なのは大村憲司。有名なので名前は聞いたことはあったのだが、演奏を聴いたのは初めて。〈ギター・ワークショップ Vol.1〉に収められている「WHEN A MAN LOVES A WOMAN」というR&Bのバラード曲のカバーなのだが、このギターがすごい。ほとんどクリーントーンストラトサウンドなのだが、巧みにヴォリューム奏法を組み合わせて、オトの強弱加減が絶妙。ストラトサウンドの気持ちよさを最大限に引き出して、その芯のある音が歌う以上に唄っている。余計に弾くことなく、間奏パートはキーボードの坂本龍一に主役を譲っているのだけれど、また大村に役が戻ってくるとその存在感のあるギターが静かに、だが深く聴くものを包み込んでゆく。去年か一昨年ぐらいに紙ジャケで限定再リリースしていたのは憶えていたのだけれど、もう少し楽曲を聴きたくなったので調べてみよかな。
あと、高中正義が思ったよりかっこよかった。「BLUE LAGOON」ぐらいしかまともに聴いたことがなかったのだが、これらのミュージシャンのなかでも「ギターでメロディーを奏でる意味」をちゃんと納得させる音を出している点では、頭一つ抜きん出ている気がする。