「脳は環境によってつくられている」
- 作者: 築山節
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2005/11/08
- メディア: 新書
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今は、空を見る。歩き流れる人を眺める。街路樹の木漏れ日を感じる。そして地面を蹴る足裏の感触、鳴る靴の音を感じようとする。それらは急にそこに存在したわけではない。いつもそこにそれらはあったのだけれど。
歩くということはシステム化されている。歩くたびに「最初は右足」「次は左足」と考えながら脚を動かしていたのでは100M先のコンビニに行くのでさえ草臥れてしまう。人は生きてゆく中でルーティンなものは特に意識しなくても自動的に出来るようにシステム化しようとする。人はどこまでも楽をしたい。考えることなんてめんどくさい。生活がどこまでも「システム化」されることを喜んで受け入れるだろう。
脳というのは基本的には怠け者であり、楽をしたがるようにできています(脳の原始的な機能である感情や本能がそれを求めます)。
前頭葉の機能が低下してくると(中略)話や行動が「反射的・パターン的になる」という段階があります。(中略)「体が覚えている」(中略)本当に覚えているのは、体ではなく脳です。しかし、上の空で行動しているとき、私たちは高次脳機能と呼ばれるような能力をほとんど使っていません。
春に新しい靴を買った。その靴を履くだけで、いつもの道、いつもの歩みに新たな面白みが与えられ、足裏に伝わる感触が、響きが心地よく感じる。
歩くというのは、全身の筋肉をバランスよく使うことでもあり(中略)ペンフィールドの局在図にわかりやすくまとめられている(以下略)
季節はもう目の前に夏を運ぼうとしている。徐々に暑くなってゆく今だけに存在する、一瞬の「涼風」を身に受けるために足を部屋の外へ運んでみるのもいいかもしれない*1。
*1:だからといって、本書を読んだから「歩く」ことを意識し始めたわけでもないのだけれど。たまたま時期が同じだっただけ。