実は、エッセイが好きだったりする

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?

知的好奇心というほどではないが、この広い世の中で、自分が普段暮らしてゆく中では到底知りえないだろうことをちょっと知ってみたいという興味、それは人並みにある。さりとて、kiaoはチャーリィ・ゴードンではないので、全ての分野を包括的に網羅する知能・知識は、残念ながら持ち合わせてはいない。そういうときに、専門分野と市井の人々の橋渡しをしてくれる人というのは、たいへんありがたい存在だ。愛読する池谷裕二氏のエッセイもそのひとつ。
著者のエッセイは、初心者向けの脳科学の基本要約といった形にとどまらず、脳科学会における最新論文からの報告結果も随所に参照されているので、かの分野の方々がもつ真新しい知識の一部に触れることができるし、そういった意味で著者の新刊を買うということの意味にも付加価値が付く。
読んでいてひとつ思ったのは、本文中には「つまり〜」がよく用いられていること。これによって、例証としてあげた実験が何を証明(しようと)したのか、それが今語っているセンテンスの主題とどう関係するのかが、あたまがこんがらがる前に理解できる(そこまで専門的で難しい話しているわけでもないけれども)。説明がうまい人というのは、コミュニケーション能(脳)力が高いということだし、頭のよさを証明することのひとつだと思う。説明下手のkiaoにとっては、なんともうらやましい能力だ。いやはや。