それでも、書店によるということ

渋谷HMVの上に青山ブックセンターができていてビックリしたよ。渋谷に行くと、必ずbook1stHMV(TOWERは微妙に距離があってめんどい)にはよる。で、book1stをぷらぷらすると、意外な発見があって思わず本を購入してしまうのだけれど、先日はそのあと「適当にまた視聴しに行くか」と思ってHMVに足を運んだら、6Fに青山ブックセンターがオープンしたと店内皇国、否、広告にあったので、そのままむかった。
6Fの青山ブックセンターは、空間をゆったりととって、床は木目調の足場を敷いて、「雰囲気とセンスを売りにしてますよ」という狙いがぐぐっと伝わってきた*1。で、book1stで買い物をしたばかりなのに、そこでも意外な発見があって思わず本を購入してしまうのであった…。
がそこらへんでさんざん言われ尽くされていることだけれど、書店の機能は、大きく2つに分散されたのだと思う。それは、

①欲しいものがそこにいけば買える
②そこにいって、意外な発見による購入を促すもの(ようするに衝動買い)

①に関しては、書店側が他の書店に比べ優位性を示せるのは、もはや「立地条件」くらいしかない。いくら品揃えがいいといっても、限りあるスペースと新刊サイクルによって限界というものが生じる。欲しくてもないものは書店に注文したりしない。amazonbk1があるから。
書店側から「立地条件」以外に、お客さんに提供できるものといったら、もう②に関するものしかない。ちょっと遠くとも、わざわざその書店に足を運ばせようとする要素といったら「自分が意識していなかった素敵な本とのめぐり合わせ」がそこでおきることへの期待のためだと思う。少なくとも、kiaoはそうだ。
ネット書店が一般的になった。大型書店の優位性は、①→②へとシフトした。で、件の青山ブックセンターは、狭くはないが、決して広くはないので、物量作戦による②へのコミットはできない*2。それでも、kiaoは新たに本を購入してしまった。では、その要因とは。…センスか、ひろい意味で。フロア全体を見ると、配置してある本たちのジャンル別な比重が、普通の書店のそれとまるで違うことがわかる。物量作戦はともすれば、あまりの数の多さに、やっぱり自分の興味のある分野にしか足を運ばなくなってしまう可能性がある。そこで書店側が、ある程度お客さん側に提供したい商品というものを、意識して「絞る」。その「絞り方」にセンスが問われるのだろう。そのセンスでお客さんに心地よい刺激を与えられるかどうかが、また次もわざわざ足を運んでみようという気を起こさせるか、起こさせないかへと大きく影響を与えるのだと思う。

あー、でも「立地条件」てやっぱりでかいよ(みもふたもないしめかた)。

*1:そりゃ、量でまともに勝負したってbook1stがあるもの

*2:と言いつつも、渋谷のセンター街だから、「立地条件」も強いのだけれど。