NECK

NECK (講談社文庫)

NECK (講談社文庫)

 
 収録作4つのうち、2つ読了。
  

 「ここではこういうふうに言うのが正しいんです」とお母さんはお父さんをはねつける。「はっきり言って、モモちゃんはまだ他人の人生に関わるほどの余裕はありません。成人前の最後のチャンスだと思って言ってるんだよ?モモちゃん、あなたはもう少し太りなさい。身体じゃなくて、人生を太らせなさい。人生というのは見栄えの良さなんか全然大事じゃないんだよ?物事を綺麗に片付けようとするのはよして、本質を大事にしなさい」
(P.P.18-19)

 1つ目は書き下ろし小説『a story』。
 
 舞城お得意の説教タイムが初っぱなにきてしまったので、即クライマックスみたいな(笑) ……まあそれは冗談として。
 
 栗山千明相武紗季を連想させる名前を持つ登場人物という、ちょっとした遊び心あり。
 そういえば、ラジオで栗山千明がこの作品を朗読したんですよね(kiaoは聴いていなかったのですが)。だから主役が「祭部亜紀(さいぶあき)」ではなくて、「粟寺百花(あわじももか)」だったんですかね。
 で、この「粟寺百花」は大学入る前まではモデルの仕事をしていて、<モデルの仕事は骨を魅せることなのだ。>が持論であるくらい痩せていて、友達がいない。ああ、そういう……(笑)。
 

 『ディスコ探偵水曜日』に「水星C」がいたように、この作品にも「野崎博士(通称「ノジャジャ」)」*1というメンターが存在します。『獣の樹』でも、河原正彦がメンターですし、なんか最近の舞城ってメンター出すの好き?(メンターを出すこと自体、物語の定型ではありますけれど)。ちなみに「水星C」でググると、ウチがトップに来ます(だから何だという)。
 
 相変わらずの、変な短編です(ホメ言葉)。多少強引な「首」にまつわるトリック部分も含め。
 
 
 2つ目は舞台作品の元となった脚本&絵コンテ『the original』。
 
 舞台という、最小限の「場所(場面設定)」と最小限の「登場人物」という制約のためためなのか、……非情にショボいです(笑) あんまりストーリー性よりも、登場人物(役者)たちの感情的な台詞のやり取りを魅せることが主軸となっている感じがします。コント脚本みたいな。所謂『シチュエーションスリラー』ってやつですか。
 
 
 残り2つは、いつ読みましょうかね……。
 
 

*1:別作品では、『煙か土か食い物』や『暗闇の中で子供』で「野崎博司」。設定上は別人。