NECK

NECK (講談社文庫)

NECK (講談社文庫)

 
 残りの二つ。
 
 『the second』
 『エソラ』に掲載したもの。ノベルゲームのバッドエンドという感じ。
 
 『the third』
 映画の原案。人の思いが(文字通り)形になるというが、『ディスコ探偵水曜日』とをちょっと思い出させます。ん〜、なんか安いラブコメきましたね。
 
 
 小説形式の『a story』以外は脚本形式でして、簡易的ではありますが、ある意味三人称の文体での作品ということで舞城としては珍しいものが読めました。
 
 そこから分かることは、一人称での「主人公の逡巡による物語の進行」が使えないため、世界観の構築や、出来事を発生させる事により物語を展開させてゆく、といった部分が弱いという感じでしょうか。
 
 おそらく小説以外の媒体での発表を意識したため*1、ライトな作風に仕上げた事による影響と言えなくもないのかもしれません。しかしそのため、「一見ペラいように見えて、読むと『お?』と思わせるものがある」というのが舞城の魅力だとkiaoは思っているのですが、本書収録の作品(『a story』以外)はその前半止まりで終わってしまっているように感じられてしまいました。
 
 
 

*1:『the second』の存在が微妙ですが