日経ビジネス 2006 05 29

商品の寿命は3週間ということで代表特集は下着メーカのトリンプ。今どきの新製品の売上げのピークは2・3週間だそうで、その売れ行きの山が落ちきる前にもう次の新商品を売り出してピークの山を起こし続ける「八ヶ岳マーチャンダイジング」を敢行しているとの事。3週間もしたら同じ商品は店頭からほぼ消えてしまうという「危機感」を煽って、短命商品の需要を作り続けている。
ちょうど最近のテレビでもこの手法のことを放映していたもので。で、トリンプという会社の特徴は毎朝8時(9時だっけか!?)に始まる「早朝会議」で、ここで平均30件もの案件を社長が1件につき2・3分でいいかだめか捌いている。そして6時終業の基本残業なし。6時半には会社内の電気そのものが落ちるという(まあ、時間のない人は家に持ち帰る羽目になっているのか、それとも情報漏えいを防ぐためにそれすらも禁止しているのかしらないけれど)。多産多死の商品社会、子供は少産少死で少子化社会、何となく並べただけだけど、この捩れた対象性は興味深い。

また一時期話題になったサントリーの「ポーション」。こちらは逆に3週間で売り切る商品の開発という目論見。あの味についても狙いがあったらしい。

「体力を消耗したキャラクターが飲むものだから、思い切りマズイ味の方がもっともらしい」(稲鍵課長)(中略)10種類もの薬草を配合した。薬草をこれだけ入れたのはサントリーでも初めてのことだ

そして3週間で得たものは、(金銭的)利益だけではない。いや、今やモノを売った時にその代価として得るものは、金銭だけではない。

もちろん、この商品がサントリーの定番商品へと昇格する可能性は低い。サントリーが得た果実は、今後の商品開発にかかわる貴重なデータだ。

一例を挙げれば「容器や景品が付加価値になること」。今回「ポーション」を購入した人なら大いにうなずける部分だと思われる。