表紙がENSORの意味は?
- 作者: G.ガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,野谷文昭
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/11/28
- メディア: 文庫
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わたしたちは、あの不合理な事件を可能にした、互いにつながり合った無数の偶然に、秩序を与えようと努めた。(…中略…)宿命が彼に名指しで与えた場所と任務がなんだったのか、それがきちんとわからぬまま暮らしていくことは、わたしたちにとって不可能だったからである。
それはあまりにもよくできた事件だった。いや、よくできすぎたいた。それが行われるのを阻止するための要素はいくつもあったし、第一、それはあまりにも「予告された殺人」だった。にもかかわらず、犯行は行われた。
事件が起こるまで、事件が起こった後の人々や町に与えた影響、犯行の瞬間、それらが巧みに組み替えられ、本来と異なる構成を持ったとき、全ては必然という渦の底に引き込まれるように、その殺人の瞬間へと集約される。人間こそが、出来事から意味を見出すことが可能なのか。それとも、出来事に意味を見出そうとしてしまうことが、人間の性だというのか。