片思いという言葉はあっても、片思われという言葉はないもの。

青い花 2巻 (Fx COMICS)

青い花 2巻 (Fx COMICS)

「もっとちゃんとぶつかってかなきゃ駄目だね。それで壊れるなら、それだけのことなんだろうし………。」


ソフトクリームいっこで

どうにかなるテーマじゃなかったみたい

およそ1年ぶり。物語は怒涛の恋愛浮き沈みを展開するのに、読み心地は非常に穏やかで、たおやかだ。藤が谷学園祭の最中、杉本恭己は受付の帰りから、万城目ふみは部室の帰りからばったり出くわすのだが、その二人が居合わせた木漏れ日あふれるあの場所のように心地よさを与えてくれる。

好きになったほうは、好きになった人に翻弄され、思い通りにならないことを想い、好きな人が好きな人をどうにかしたくなる、そうならないはずはないのだ。好きになったほうが負け。あなたの一挙手一投足が私の心を震わせて、あなたが目を逸らすたびに、目を見つめてくるたびに私の心拍数はあがり、あなたが話しかけてくるその声が私を動揺させ、歓喜させ、くるしめる。でもその苦しみこそが、恋の醍醐味なのだ。より負けているほうが、より恋をあじわっている。

「私はふみを裏切ってるのかな」

「そんなこと そんなことを言ってるんじゃないんです」


そんなことを 
言っているのだ

まだまだニュートラルな立ち居地にいる奥平あきら。人を好きになって、それがゆえに心をくるしめている恭己やふみ。あきらはニュートラルな立ち居地にいるからこそ、彼女らに言ってあげるべき言葉が見つからず、痛みを真に共有してあげることができないふがいなさゆえに、何も言えなくなってしまうことがある。そんな彼女もまた、心を小さく傷めているように思えてならない。
ふみにとって、一番ちかい友人であり、初恋の人でもあるあきらに、少しずつ〃ではあるが傾倒してゆくところに、そう遠くない先にある大波乱を予感させる。が、まだ予感。

個人的には、奥平あきらのディフォルメ顔(志村氏お得意の)がかわいくてお気に入り。