分岐、平行、インプラント
- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 文庫
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故意に子どもを放置している親の中でも最悪の連中を除けば、生身のわが子が生まれてきたことを喜んでいないと知って、絶望的な気分にならない親はいない。もしぼくが、自分に押しつけられた存在のありように欠陥があったからといって母や父に毒づいたしたら、両親とぼくのどちらが世間さまからより大きな同情を買うかは、考えるまでもない。だが、ぼくたちの(原文傍点部)娘に問題があったなら、それがなんであろうと非難囂々だろう――どれだけの愛と、努力と、自己分析をもって娘を作ったとしても――なぜならぼくたちはだれもが自分たちの子どもに喜んで負わせているたぐいの運命に、不満をいだいたのだから。
で、この「ひとりっ子」を読んだあとに「Oracle」を読むと、…断然理解度がちがってくる。「ひとりっ子」ででてきた(と思われる)人物がこちらにも登場するし*3、分岐・履歴・因果干渉の概念も「ひとりっ子」を経ると飲み込みやすい。たしかに読後感というか、最期のシメとして最期に「ひとりっ子」を持ってきたいのはわかる。だが、個人的には「ひとりっ子」→「Oracle」の順番のほうが、その世界観のリンクを楽しめるという意味でも、お勧めだったりする。