最近読んだものども

ガウガウわー太2 2 (IDコミックス REXコミックス)
修学旅行編も一段落。太助の人間的な成長ぶりと、みさとさんとの関係の微妙な変化が今後の展開にどう影響してくるのか気になってきた。動物を、写実すぎでもなくキャラ化しすぎてもなく絶妙な按配で描くことのできる梅川氏は、とてもすごいと思う。すこし心配なのは、切実に伝えたいことを多く抱えすぎていて、物語がそれに圧迫され始めてきている兆しが、ちょっと見えてきていること*1。おそらく、これまでの週刊ペースと今の月間ペースの差からくる、着想→作成→発表までのレスポンスタイムのずれ(焦りのようなもの)が関係しているのでは。そこらへんの匙加減は、難しいところですな。あと、委員長のシーンは、委員長好きの人へのサービスのためとしか、kiaoには思えませんでした(そういう「属性に萌える」みたいなものが、kiaoにはないので)。別に尾田島は嫌いなわけではないです。

宇宙家族ノベヤマ 1 (ビッグコミックス)
この人の絵は、前から気になっていた。アフタヌーンで短期集中連載していた時か。一見レトロのようで、洗練された絵。話は、なんか宇宙に行く話。

ハンド×レッド 1 (IDコミックススペシャル REXコミックス)
「宿敵」これを描くために、この物語は存在する。設定はおもしろい。が、それが諸刃となって、主人公と周りの人たちとの関係性がじっくり固められる前に対決(物語の設定上、即ボス戦みたいな感じ)になるのはおしい気がする。どんなに他キャラが足掻こうとも、結局、この物語のレゾンテートルは主人公と親友(敵)2人のためでしかないのだから。

ピコーン! (IKKI COMICS)
いつのまにこんなものが。最初は、マンガでは(物理的に)描ききれない文章を、1コマ内でまとめて消化しようとしたところが見えたとき、「傭兵ピエール(野口賢版)」かよ、と少々心配した。が、読み進めてみるとこれがなかなか、いや、かなりうまいこと舞城世界を作者なりに消化して組み立ててあることがわかる。正直驚いた。「ピコーン」の1話目の切り方で、もう心配せずに読み進められることがkiaoの中では確定した。「スクールアタック・シンドローム」のほうは、kiao自身かなりお気に入りの話なのだが、こちらもうまいこと描いているなぁ、と思った。満足。

うさぎドロップ  (2) (Feelコミックス)
りんがかわいらしくてよい。この一言につきる。もちろん、このかわいらしいは愛玩動物的な「かわいらしい」ではなくて、1人の成長する人間として「かわいらしい」。で、その成長する人間を請け負う「責任」に奔走する大吉へも、読者として応援する熱が入る。育てながら、育てられることって、あるね。

鈴木先生 2 (アクションコミックス)
問題勃発しすぎだぞ、この学校(笑)。金八先生かよ(って、ほとんど見たことないんだけど)。たしかに、この時代に、この絵、この話は、個性的でいい。「鈴木先生」を読むと、いつも思い出す文章がある。

メロドラマの目的は、最大限の振幅です。(…中略…)両極端を取りこんで、極端なコントラストと起伏を可能にするのがメロドラマだ、とも言えます。
(…中略…)
世界の裏側には極端のみからなる世界があって(引用者注・メロドラマのこと)、そこで人は笑うのではなく哄笑し、泣くのではなく号泣し、意地悪をするのではなく破滅させ、陰口を叩くのではなく罵倒し、どつくのではなく殺し、小銭を稼ぐのではなくロスチャイルドになりたがり、出世を狙うのではなくナポレオンになろうとする訳です。

佐藤亜紀「小説のストラテジー」


あと3冊は、はずれ。

*1:「○ニミツの○」みたいにならなければいいが