「おまえ…あれだろ。”男嫌い”ってヤツ。」
「なに、それ。」
「別にィ。なんとなくそうかな〜〜って。」
「なんで、そう思ったの?
 あたしがレズに見えたから?いやらしい大人にイタズラされてそうなかわいそうな少女に見えたから?
 ねえ、なんで?」
「知らねえよ。なんとなくって言っただろ。」
「じゃあね、ひとつ聞くけどね。
 あんたは、股間をまさぐりたおしたあげくにケツにザーメンひっかけていくような人間が好きってワケね」
「好きなワケねーーだろ」
「ホレ見ろ。
 少女の複雑な心情を”男嫌い”なんつー単純な表現でひとくくりにするんじゃねーーーよ。バカ。」
 
志村貴子「敷居の住人」Vol.19