見上げれば、いつもそこに、星。
- 作者: 梅川和実
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2007/08/11
- メディア: コミック
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見ようとしないあたしには
ここに何かがあったとしても
ずっと 何も
見えないままで終わってしまう――
見てみたら それは
この夜空のようにキレイなのかもしれない
どんな状態にあっても、ひとつだけ変わらないもの。見上げればわかる、夜空に輝く星々。
主人公の水谷湊が欲しかったのは、その夜空のように、変わらないであり続ける友達。
この世界に変わらないものはない。友情もそうだし、夜空の星々でさえも。
ただ、下を向いていたら、その星の存在にさえ気づけない。
変わるかもしれない。いつかなくなるかもしれない。
だけど、まずは真っすぐ上を見上げてみることから始めてみよう。そうすれば、あなたを見守り続ける存在に気づくことができるから。
「ウチら 夢ないからってあるヤツの足引っぱっちゃダメだよね
それって ただのヒガミだもん」
「うん〜 ない人はある人の応援すればいいと思うな〜♪
一緒に夢 見させて貰えば楽しーもんね」
惑星と恒星。
夢を持ち続けることのできる者は、恒星のそれと似ているかもしれない。自ら熱を発する高エネルギー体としてのそれと。
水谷湊とそらみよ部の3人(相田宗司・高坂嵐子・滝川陽一)。
夢を持っていない者だって輝ける。恒星から受けた光を鮮やかに照り返して。太陽の光も、夕闇に映える一番星の光も、異なった美しさを持つ。
―――違うのよ 「そらみよ部」のみんなは―――
そりゃ ちょっとヘンな人たちだけど
でも
独りだったあたしを見付けてくれたの……!!
人間と比べたら、星は比べ物にならないほど長い時間を生きている。
水谷湊は、望んだ高校に落ちてしまい、中学校時代の友達と離れていってしまった。それをずっと引きずり続けて、いまだ高校に自分の居場所を見いだせないでいた。そんな時そらみよ部(天文部)の3人と出会い、夜空を見上げ、少しずつ変わり始めていく。
湊が持つ悩みはもちろん個人的であると同時に、きっと誰しもが持ったことのある悩みなのかもしれない。いつの時代、どんな場所にも同じ様に存在する悩み。
夜空にある星々は、そんな湊が持ったような思いを時代を超えて聞き続けてきたのかもしれない。そしてこれからも。