自分を肯定するための、世界に肯定させるための、けつだん

放浪息子 (8) (BEAM COMIX)

放浪息子 (8) (BEAM COMIX)

フランシーンがわたしにむかって、「イザベルがどう思うかなんて考えてる場合じゃない。なにが待ちうけているかも、わたしたちがそれから守ってあげられることも知っていて、ヘレンがそうしたいというなら、わたしたちはあの子の決断を尊重しなくては」
その言葉の言外の意味に、わたしは一瞬かっとなった。娘が意味のある選択をおこなえるようにするため、あれだけ苦労してきておきながら、その娘の邪魔をしたのでは言行不一致もいいところだ。だが、"なにが待ちうけているか知っている"だって? あの子は九歳半なんだぞ。


グレッグ・イーガン『ひとりっ子』収録「ひとりっ子」より

この一年間で最も待ち望んでいた新刊がついに来た!!
二鳥くん・高槻くんたちのクラス替えに始まり(そうかぁ……、もう中学2年生なのかぁ)、今までになかった人たちの組み合わせにハラハラドキドキして、そして最後に迎える(それはこの物語最大の山場となる)「ぼくたちの、けつだん」
怒濤に次ぐ怒濤!! というか兼田先生でてきているし!! 「え、あれ、兼田ってあの兼田!?」と思っていたら、本当にあの兼田だった。あとがきを読んでkiaoも「ま、そんなこったろーと」思ったのでした。kiaoも好きなキャラクターでしたから、いいんですけどね。
人間関係のダイナミクスというか。登場人物の結びつかせ方がうまい……。使い捨ての「キャラ」ではなく、物語の中でそれぞれの文脈の中で生きている「キャラクター」。これが、物語を描くということか……。
50Pに一回は、読んでいるこっちの手が止まってしまうほどの緊迫。千葉さんは高槻くんと仲良くなって、外に出ているのでよかったです(笑)更科さんの意外な一面が見られたのもうれしい(でも、この人だったらこういう一面も持っているよなぁと自然と思える)。そして……。

これは、もう終わりが見えてきたのか!? そういえば、8巻だから『敷居の住人』の巻数を越えたな。感慨深い。
あの台詞。最後までいってから読み返すと違った意味に見えてしまう。微笑ましいのに、何か別なものを感じさせてしまうような……。

今日さ 千葉さんの服買うのにつきあったんだ
下着とか…… あの人かわいいものすきだから
私 自分ではそういうとこに行かないからさ
二鳥君のすきそうな小物とかもいっぱいみたよ
また みんなでこうやって遊ぼうよ