完全版が出版されてよかったです。
- 作者: タカハシマコ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2009/01/10
- メディア: コミック
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携帯電話というツールは、今やすっかり定着した「文化」だと思いますが、それが文化として存在するのは、専ら10代(特にロー〜ミドルティーン)ですね。大人にとっては、本当に単なる「ツール」でしかありませんから。
思春期の少年少女=閉塞感、というのはこれもまた定番の図式だと(勝手に)思っています。ここではないどこかへ行きたい、真に理解し合える誰かに出会いたい、そういった思いが携帯電話という自前のコミュニケーションツール(それも、子供が唯一大人たちと同じ能力を有している道具として)と結びついたとき、携帯電話は「ケータイ」になり、彼・彼女らを表すイコンにすらなってしまいました。
ただ、人と繋がる事なんて、「ケータイ」があろうとなかろうと、結果は変わらないのですが。これはこの先、どんなツールが登場しても、根本的には同じことだと思います(もちろん、人と繋がっている気がする、という安心感はあるでしょう。が、それもやはり同様のことです)。
たとえ繋がりが無くても、その存在に感謝することはあります。あなたは私のことを知らないでしょうし、この先知ることもないでしょうけれど、私はあなたが存在してくれることに、あなたの作品を通して感謝の意をとなえるでしょう。タカハシマコ。あなたもそのなかの一人です。
完全版1巻のあとがきで、担当さんに<地味ですね。 やはり決めゼリフはほしいですね>と言われていたり、(登場人物であるニコの)派手な登場を要求されたりしていたようですが、読めばわかるとおり、そういったことを回避できてよかったですね。私もよかったです。上記の要求を満たして、このプロットだと、まんま「地獄少女」ですもんね……。