放浪息子第10巻&アニメ化
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と言うわけで、単行本第10巻(ついに大台きました!!)と、まさかの志村貴子作品アニメ化第二弾。
きましたね。あったとしても、まさかこんな続けざまにくるとは。
これはもう『青い花』以上に事件です。何故ならkiaoにとって、これまで読んできた全てのマンガの中で最も好きな作品だからです。おそらく今回も『青い花』同様1クールでしょうから、「小学生編」までくらいでしょうね。
全てが、全てが気になるところですが、kiaoとしては特に気になるのはやはり千葉さんですね。なにせファンですから。
二鳥くんの女の子姿を最初に目撃したクラスメート。そんな彼に驚くどころか、「6年生を送る会」の演目選びにむしろドストレートにこんなこといっちゃう女の子。
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最初期のころは、何を考えているのか他のクラスメートもよく分からない、簡単に言ってしまえば「不思議ちゃん」な子でした。物事に対して先入観がない分、周りの空気を読む能力に少し欠ける。思い詰めたら一直線。
二鳥くんの女の子姿がかわいかったので、よろこんでもらおうと、二鳥くんの誕生日にお年玉はたいてかわいい服をプレゼントしちゃう千葉さん。そのプレゼントを高槻くんが知ってしまい(このこと自体は、逆に二鳥くんと高槻くんが互いを知るきっかけになったのですが)、さすがに服をもらっちゃうのはどうかと考え直してプレゼントを千葉さんに返す二鳥くん。「どうして…」と理解ができない千葉さんは、思わずこんな行動にでちゃうのでした。
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もらってくれないのなら、何の価値もない。だから灰に帰させる。
拒否をもっと大きい拒否で返す。行動原理が1か0のみ。
ほんと、おそろしい子です(笑)
そんな彼女もなんだかんだで二鳥くんや高槻くん(……とはどうなんだろ)、佐々ちゃんと仲良くなり。でも6年生になったときには一人だけ別クラスという憂き目に。
そんでもって修学旅行。二鳥くんはバスで隣席のクラスメート(岡)に女っぽいことをからかわれ、一夜明けての朝食時には聞こえよがしに「オカマちゃーん」と。呆然とする二鳥くん。それを聞いた千葉さんは、岡に「二鳥くんのこと?」と問い詰めるが、岡はしらばっくれる。
と次の瞬間、
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ある意味まっすぐだからこそ、許せないものは何があっても許せない。自分の信じることを曲げずに行動する。ここでやっと全読者の千葉さん株が上がったはず(笑)。またこのシーンは、直前に『赤毛のアン』の1エピソードを挿入し、そして千葉さんの行動に重ね合わせる流れが秀逸ですよね。
修学旅行が終わった後も、千葉さんが保健室登校を始めたり、二鳥くんと高槻くんとの交換日記が岡のせいでクラス中に知れ渡ったり、千葉さんがクラスに来なくなった理由を暴露して一悶着あったり(土居事件)、高槻くんがスカート穿いてきたり、マコちゃんが登場したり、色々な事が起きます。
ちょうどこのあたりにある雨のシーンが、絵的に結構好きだったりするんですよ。
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雨と傘って、線の構成というか、なんかそんな良さがあったりします。つい先日見た小村雪岱の展示も、雨と傘の絵をポスターに使用していたりしましたからね。
そして雨と言えば、忘れてはならないこのシーン。数ある千葉さんのエピソードでも、屈指の名シーンではないでしょうか。で、ここでも絡んでくるのが岡という……。彼の存在を喜んで良いのか憎んで良いのやら(笑)
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このね、気高く凛々しい千葉さんの表情が、もう最高ですね。
ちょっと変とは言え、二鳥くんの良き理解者である千葉さん。そしてもう一人の理解者である高槻くん。高槻くんのほうが二鳥くんと男装・女装というお互いが共有する秘密を分かち合っているためか、どうしても千葉さんには高槻くんと二鳥くんとの距離感に羨望の片鱗が。
自分は二鳥くんを理解しているのに、好きなのに、たぶん距離としては高槻くんとのほうが彼に近い。そうなったときに、千葉さんと高槻くんとの間に、何もないはずはないのでした。
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二鳥くんと千葉さん。
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千葉さんと高槻くん。
これでまた、「中学生編」でのクールビューティな彼女も素敵だったりするんですよ。そしてそんななかでも、二鳥くんの前だけでのあの笑顔(第五巻 P.189)とか。あと、高槻くんとの関係の変化も。あれは胸を打たれます。もちろん、千葉さん以外も魅力的な登場人物ばかりです。
とりあえず、目下の楽しみとしては新刊ですね。目下というか、楽しみの根本というか。