最近読んだもの

鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)
 
 大団円。00年代を代表するマンガだと思います。
 
 力強く壮大な物語はもちろんのこと、一人一人の登場人物に対して丁寧に描かれていた点も特筆すべきものでした。
 
 特に、物語の序盤*1でキメラとなった少女・ニーナのことについて、普通の作品でしたら単に物語の助走のための話として扱われるだけですが、この作品では最後の最後までアル達はそのことを引きづり続けました。そういった作者のキャラへ対する真摯な眼差しが、一人一人の登場人物を本当に魅力的な存在にしているのだと思います。
 
 エドとアル。彼らは失われた肉体を取り戻すため、覚悟として帰る家を焼き払い旅に出ました。そして肉体を取り戻し、帰るべき場所を得た今度は、より広い世界を知るために、自分たちの得たものでより多くの人たちに貢献できるように、再び旅に出るのでした。
 
カッコカワイイ宣言! 1 (ジャンプコミックス)
 ムカツクくらいオモシロイと言ったらいいのでしょうか。「あきらかにおかしいのに、何でお前らそんな自身満々やねん!?」という感じ? うまく言語化できたでしょうか……。
 
少女素数 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
 「スタイリッシュ中学生日記(少女版)」と一言で現してみたり。今巻もいろいろとかわいいですね。
 
神話ポンチ 2 (ヤングガンガンコミックス)
 作者は空子先輩お気に入りで、kiaoも好きだったりするのですが、そのせいで一応メインヒロインであるアテナの存在が尻すぼみで弱くなっていってしまった感は拭えませんでしたね。と言いますか、ヒロインの交代? ギリシャ神話と日常という噛み合わせがなかなか受け入れられにくい感じだったのでしょうか、読者的に。
 
ビリオネアガール(1) (アフタヌーンKC)
 作中に存在するデイトレーダーという存在が、普通の人々が断片的に想像する域を全く出ていないところがかなり問題です*2
 
 経済は純粋に経済だけでなりたっているはずもなく、政治や権力構造とどろどろに関係しているもので、全く後ろ盾のない個人が大金を生みだすというのは、ロトくじで大当たりするほどの存在確率しか有していないのは、少し考えれば誰でも分かります。
 
 だからこそそれほどリアリティのないものに対して、物語を読み進めてゆくうちに「もしかしたらこんな人間も存在するかもしれない」と思わせるほどの説得力が必要なのに、それを築き上げようとする姿勢が皆無です。つまりは、個人資産100億円以上のデイトレーダーという存在を所与のものとして話が進んで言ってしまっているのが、なんとも……。
 
 桂明日香だから購入しましたが、続きを買うかかなり悩みます。
 
よつばと! 10 (電撃コミックス)
 夏休みが終わって、お隣三姉妹を話に絡ませてくる方法が難しいですが、それでも今巻も何とか三人とも登場します。
 よつばは本当に顔が丸くなったなとか、日常だからオチはいらないとかそういうレベルでなくなってきたなとか、マンガがカレンダーとかを含めた「よつばスタジオ」コンテンツという位置づけになってきてないかなとか、いろいろ思ったりしたのでした。
 
3月のライオン 5 (ヤングアニマルコミックス)
 人が生きるといういことは、自分の居場所を確保するのに全力を尽くすということなのでしょうか。
 
 己の力が及ばないことにもがき苦しむこともあります。ときには、間違ったことを見て見ぬふりをしてまでその居場所を確保することに固執してしまうこともあるかもしれません。
 
 だけど、自分の信念を曲げてまで手に入れたその場所に、いったいどれだけの価値があるというのでしょうか。
 
 正しさを貫き通すために、酷く傷つけられることもあるかもしれません。だけれどその正しさを通すことは、必ず誰かを救うことができる。そう信じること。理想を捨てないこと。
 
 誰かに与えられたものではなく、自分の力で守り抜き勝ち取ったそれこそが、人が生きてゆくことの証、居場所と呼べるものではないのでしょうか? そんな想いを感じとった第5巻でした。
 
 

*1:単行本2巻の第5話

*2:『B・N・F』幻想に今さら話の種としてすがるの止めません?