TVアニメ『放浪息子』 第6話 文化祭 〜Dream of butterfly〜


 
 今回はマコちゃん主人公の回ということで。
 
 少なからずの人に「女の子」として振る舞われることを期待される二鳥くん。それに対し、自分はそのように期待されていないという複雑な感情を持つ有賀くん。彼の中で、演劇の主役という一番注目される(それも自分がそう見られたい「女の子」としての)役割をこなすことを通して、その複雑な感情から一歩前へ進む、というお話。
 
 原作を知っていると、アニメという制限の中で何を必要として、そのために何を削り、どう話を組み替えて効果的に見せるかという、監督の意図が分かるのがおもしろいですね。この文化祭の話でもそれを感じることができます。
 
 それにしても、マコちゃんの中の人、うまいですね。劇の演技にして、自信がなくヘタレつつも一生懸命がんばってるマコちゃん感がすごいでてます。
 
 そしてそれと対比してキリッとした演技をこなす千葉さんもGood!! 大事な「わたしのジュリエットという名は あなたにこそふさわしい」のところも、舞台袖にいる高槻くんへ向かう視線の演出が、バッチリ決まっていました。
 
 『放浪息子 アニメーションガイド』の監督インタビューにて「大きな盛り上がりが6話にあります。文化祭が盛り上がっていく感じが面白いものになりそうな予感があります。」との言葉どおり、物語の中盤にして一つの大きな山を越えた感がありました。
 
 ちなみに原作でもあるシーンなんですが、冒頭、更科さんが衣装を身に纏った千葉さんを「かっこいい〃」と連呼、それを白井さんが「かっこいいしか知らないわけぇ?」と呆れる場面があります。これは『ロミオとジュリエット』の劇中台詞「おまえは悲しいと言う言葉しか知らないの?」と対置された会話、つまりこの『ロミオとジュリエット』回の掴み的役割を担っているんですよね。