奥平 忍のシスコンっぷりがよく分かる第3話


 
 木漏れ日。窓辺から入り込む日の光。志村貴子氏が「(引用者注:他作品と比べ)木漏れ日が増える*1と言ったように、背景に差し込む光が、作品世界に煌めきを与えていること。それを今回視聴していても強く感じました。
 
 原作では、合コンが始まる前にあーちゃんが泣き出してしまいましたが、アニメ版ではしばらくデートが進みました。ここまで進むことによって、ふみちゃん達のデートとの対比がより明確に映し出された形となっています。ただ、井汲さんは「女の子を集める」と言っているので、人数が二対二だと辻褄が合わなくなってしまっているのが残念ですが(元から二人の予定なら「集める」ではなく「誘う」ですし、仮に集めるつもりがあーちゃんしか見繕えなかったのなら、それはそれで悲しーことではあります)。*2
 
 杉本先輩とふみちゃんがデートするシーンで、今後のお話で杉本先輩とあーちゃんが連れ立つあの背景*3を使用しているのがニクいです。軽く複線を張っていますよね(単に背景の使い回しだったりして)。
 
 「万城目さん、図書室に行こう!! 」という演出は、ちょっと酷すぎ……。もうちょっとナチュラルな繋ぎ方というものがあるのでは……(そもそも、そんなに気合いを入れて何をしに?)。というか蛇足。
 
 
 やはり、どうしても気になりますね、万城目さんの声が。やはり、天然ボケ系の声質ですよ。いや、むしろ演技力の問題で、そう聴こえざるを得ないのかもしれません。
 第1話で、一人本を読んでいる彼女に対し、ポンちゃんをして「万城目さんってさ、雰囲気あるよね」と言わせています。キャスティングされた方は、万城目さんが一体「どんな雰囲気のある人」だと捉えているのでしょうか?*4
 おそらく、声が入った時点で、原作のイメージから掛け金が少し外れてしまったことを、どこかで気付いているのでは?
 その一例として、上記のシーンの続きで、ポンちゃんが「ブー、ウチは全員なんらかの部に所属しなくてはいけないんです――」とあるのですが、原作ではそれに対し万城目さんの(なんだ 今の言い方は)(なんなんだ この娘は)という心の声があるのですが*5、アニメでは見事にその声は削られ、表情だけで語られています。
 いや、これはそうせざるを得なかったからだと思います。なぜなら、あの声にその台詞が全く合わないからです(想像してアテレコしてみれば、その不釣り合い様がはっきりと分かるはずです)。この声で「うあ゛っ*6とか出せないでしょう?
 これはおそらく、監督が「かわいい女の子たちが結ばれる様を描く百合物語」というコンセプトで創っているからなのではと想像します(OPのラストとかね)。だから、主人公の"どちらの"声も「かわいい」のでしょう。万城目さん以外のキャスティングは、きちんと"決まっている"と思うのですけれど、だからこそ余計に……。*7
 
 
 そして気になるのは、全11話でどうやって話を納めるつもりなのかということ。予想としては、「嵐が丘」が終わった後、杉本家に行く話まで描き、井汲さんの別荘行く話を飛ばして、先生結婚、杉本先輩留学、第3巻P.138の「私の初恋はあーちゃんなの」から第1巻P.185「あーちゃんが私の初恋の人………」に繋ぎ、「持て余してしまうかもしれない そんな花……」で締めくくる形になる、かなと。
 

*1:マンガ・エロティクスF vol.43青い花大特集』より

*2:ちなみに原作では上述のようにデートが始まる前に泣き出してしまっているので、他の人が来る前にそうなった、という他の人を描かない理由がギリギリ成り立つようになっています。

*3:『青い花』第2巻 p.149

*4:私の個人的なイメージは、「しっかりしているように見えて、実は芯が弱い」です。

*5:『青い花』第1巻 p.22

*6:『青い花』第2巻 p.38

*7:むしろこれには、もっと別な理由があると私は考えているのですが、それはあまりにもあんまりなのでよしておきます。